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【感想】「アリータ: バトル・エンジェル」

 

 

 

サイバネ技術が普及した未来世界において、記憶を失った状態で目覚めた少女アリータが、人との交流や戦いを経て本当の自分を取り戻していく様を描く。

 

日本の漫画「銃夢」を原作とし、その1-4巻の内容をアレンジして脚本としている。

一応、自分は銃夢シリーズのファンを自認しているので、映画には前から関心があったのだ。

 

期待半分不安半分で観たが、まあ及第点はあげるかなあといったところか。



変なオリジナル要素は少なく、概ね原作に沿った作品となっている。原作愛は割と感じた。

 

大きなマイナス点としては、この手の原作がある映画によくあることだが、1シーン1シーンが軽い。

重要なシーンに余韻がないと言うべきか。

原作の要素を複数取り入れつつそれっぽい話にまとめたものを、2時間の尺に押し込めるとそうなってしまうのだろう。

場面をコロコロ変えながらポンポン話が進んでいくので、原作未読者は特に楽しみ辛いんじゃないかと思う。

 

あとは、原作の「味」の1つであるクズ鉄町のポストアポカリプス感が薄く、やたら小綺麗なのが残念だった。

原作にある退廃的な様、汚さや怪しさを再現して欲しかった。

 

 

Amazonビデオのレンタルで観たけど、評価が★5中4で逆に不思議。

(原作未読者なら)3か3.5くらいを付けそうだと思った。

原作ファンとして評価が高いのは嬉しいのだが。

 

アクションシーンは中々観応えあったから、そこで評価されたんだろうか。

 

 

ここからは原作ファンとして更に少し語る。

 

無印銃夢の一貫したテーマは、

「記憶も何もかも持たないガリィ(アリータ)が、人との交流や戦いを通じ、己の戦士としてのアイデンティティを確立していく」

というドラマである。

 

バトルアクション漫画ではあるが、戦いの中でガリィが見せる心の強さと弱さ、それらの丁寧な描写に真の素晴らしさがある(個人の感想です)。

 

その観点からすると映画はどうだったのか?という話だが…そこはしっかり尊重していたように感じた。

 

単なるアクション一辺倒の娯楽映画ではなく、ユーゴとの交流を通じてアリータの心が動く様を描いた(少なくとも描こうとした)ことに一番の評価をしたい。

 

上述した通り、尺の関係でどうしても丁寧に描けていたとは言えない部分もあるが。



 

さて、自分が無印銃夢で一番好きなストーリーは、ガリィが己の業そのものであるザパンと対峙し、死闘の果てに心を打ちのめされて終わる「復讐の季節」。

ザパン編と言われたりする。

 

映画でもザパンは原作通りに登場したので、仮に続編が作られるのであれば「復讐の季節」のエピソードを描けないこともない。

 

…が、もしそうするとなると「復讐の季節」だけで1本の作品にしないとまともなものにならないだろうから、実現しないだろう。

まずそのままハリウッド映画化するには暗すぎる。

 

続編があるとすればモーターボールでジャシュガンと戦い、その後ノヴァと決着をつけるところまでか。